『NANA』は21巻で連載が止まり、続きが描かれないまま10年以上が経過しています。
未収録の22巻以降には、蓮の死後の未来やナナの失踪、奈々と娘・皐のその後など、読者が気になる情報が描かれていました。
本記事では、『NANA』の簡単なあらすじから未収録話のネタバレ、作者が続きが描けない理由と今後の可能性までを丁寧に解説します。
長年のファンにも、最近興味を持った方にもおすすめの内容です。
『NANA』の簡単なあらすじと21巻までの主要な展開
『NANA』は矢沢あい先生による人気少女漫画で、2000年から「Cookie(クッキー)」にて連載されました。
音楽業界を舞台に、2人の“ナナ”という名前の女性の人生が交錯していくドラマチックな物語が展開され、深い人間関係とリアルな心情描写が共感を呼びました。
物語は、小松奈々(ハチ)と大崎ナナという2人の女性が、新幹線の中で偶然出会うシーンから始まります。
まったく性格が異なる2人のナナは、東京での暮らしをきっかけに同居することになり、それぞれの恋愛や夢、そして現実に翻弄されながら成長していきます。
小松奈々は、恋愛体質で流されやすい性格。恋人に依存する傾向が強く、物語の序盤では彼氏・遠藤章司を追って上京します。
一方、大崎ナナは、ロックバンド「BLACK STONES(ブラスト)」のボーカルで、クールで強気な外見とは裏腹に、繊細で仲間想いな一面を持っています。
彼女は元恋人であり人気バンド「TRAPNEST(トラネス)」のギタリスト・本城蓮(レン)への複雑な想いを抱きながら、プロとしての成功を目指します。
21巻までの物語では、主に以下の重要な展開が描かれます。
ブラストとトラネス、音楽業界での活躍と対立
ブラストはインディーズからメジャーデビューを目指し、ナナや仲間たちの努力により注目を集めていきます。
しかし、トラネスとの関係やメディアの干渉により、プライベートが次第に壊れていきます。
ナナはレンとの関係を修復しながらも、恋と夢の両立に苦しむ姿が印象的です。
奈々の妊娠とタクミとの結婚
奈々は、レンのバンドメンバーであるタクミとの関係から妊娠が発覚します。子どもの父親が誰か不明のまま、彼女は“安定”を選んでタクミと結婚。家庭に入る道を選ぶことになりますが、精神的には常に不安定で、自己肯定感の低さに悩み続けます。
蓮の死という衝撃の展開
『NANA』の中でも最もショッキングな出来事が、21巻で描かれる蓮の突然の死です。
バレンタインデーの夜、ナナが手作りチョコを渡すために彼の元へ向かおうとしていたその日、蓮は交通事故により命を落とします。
この出来事はナナに深いトラウマを残し、彼女の精神は不安定になっていきます。
21巻の終わりとその後の空白
21巻は、ナナがショックのあまり音信不通になり、日本を離れた可能性が示唆された場面で幕を閉じます。
彼女の失踪、奈々の結婚生活、仲間たちの未来がどうなっていくのか――
物語の核心に迫る部分が、まさにここから未収録状態となっているのです。
『NANA』は単なる恋愛漫画ではなく、夢を追いながらも現実に打ちのめされる若者たちの苦悩と成長を描いた作品です。
21巻まででも感情を大きく揺さぶる出来事が多く、「レンの死」は読者の間でも「精神的にくる」「鬱展開すぎる」と強く印象に残っています。
このあとに続く22巻以降のエピソードは、Cookie誌上で短期間だけ連載されたものの、単行本化はされておらず、現在も“未収録話”としてファンの間で語り継がれています。
その展開を、次の章で詳しく解説していきます。
22巻以降の展開と未収録の未来描写|NANAの続きはどうなる?
『NANA』は21巻のあと、「Cookie」2009年3月号を最後に長期休載に入りました。
以降、単行本は未刊行のままですが、22巻相当とされる未収録話が数話、Cookie誌に掲載されたことがあります。
この「未収録話」には、読者が最も知りたい“その後の展開”や“未来の描写”が断片的に描かれています。
では、その気になる22巻以降、特に81話〜84話(Cookie掲載)の内容を中心に、未収録の展開を解説していきます。
未来の描写:数年後の奈々と娘・皐の姿
未収録話のなかで特に印象的なのが、“未来の小松奈々と娘・皐(さつき)”の描写です。
物語は奈々視点で語られ、彼女はタクミと離れてイギリスで娘と2人で暮らしている様子が描かれます。
皐はすでに5歳前後に成長しており、容姿や性格から「父親はレンではないか?」という読者の考察が飛び交っています。
ただし、物語内で明確には描かれておらず、父親の正体はあくまで曖昧なままです。
タクミは同じくイギリスに滞在しているようですが、奈々とは別居中で、関係はかなり冷え切っていることがうかがえます。
奈々はタクミに対して「私にはもう期待しないで」と語るなど、彼女自身の精神的な自立や変化が見られます。
ナナの失踪と、仲間たちのその後
21巻ラストで失踪したナナの“その後”も少しだけ描かれます。
未来の場面では、ナナが日本から姿を消したまま音信不通になっていることが明かされます。
ブラストのメンバーであるノブやヤスも、それぞれ新たな生活に進んでいる様子が語られています。
ノブはまだ奈々に未練がある描写がありつつも、彼自身の店を経営しているようです。
ヤスは変わらず冷静で、ブラストの精神的支柱としてメンバーと繋がりを持ち続けている存在ですが、バンドとしての活動は行っていないことが示唆されます。
そして何よりも読者の心に残るのが、ナナがいない世界の「静けさと喪失感」。
物語は音楽が中心であったにもかかわらず、22巻以降は音楽活動の描写がほぼなくなり、“ナナがいないこと”そのものが物語の重さとなっています。
蓮の死後、ナナはどこに消えたのか?
蓮の死により精神的に追い詰められたナナは、その後、自分の意志で“日本を離れた”とされています。
未収録話では彼女の現在地や生活は描かれていませんが、ナナ宛に何年も手紙を書き続ける奈々の姿が描かれています。
これは、「ナナとの絆をもう一度取り戻したい」「伝えたい思いがまだある」という奈々の想いを強調すると同時に、読者に“いつかまた2人が再会する日が来るのでは”という淡い希望を残す演出となっています。
Cookie掲載話の終わり方:再開はあるのか?
Cookieで掲載された未収録話は、明確な終わりや完結感はなく、あくまで“途中経過”のような形で終了しています。
未来の描写や人物の心理描写が中心で、大きな事件や展開はありません。
ただし、それがかえって「その後どうなるのか?」という興味を強く引き出しています。
また、これらのエピソードには矢沢あい先生のメッセージが込められており、「彼女たちは今もどこかで生きている」と読者に感じさせる余韻を残しています。
22巻以降の話は、単行本として正式にまとめられていないため、一部の読者しかその内容を知らない「幻のエピソード」になっています。
しかし、この“未収録話”こそが、ファンが今も『NANA』に惹きつけられる大きな理由のひとつです。
次の章では、なぜ矢沢あい先生が『NANA』の続きを描けなくなったのか、そして今後の連載再開の可能性について、詳しく解説していきます。
『NANA』が描けない理由と再開の可能性はあるのか?
『NANA』は2009年から現在まで連載休止中であり、続きが発表されないまま10年以上が経過しています。
21巻で物語が一旦区切られたあと、読者の間では「なぜ矢沢あい先生はNANAの続きが描けないのか?」「再開の可能性はあるのか?」という疑問が長年投げかけられてきました。
結論から言えば、矢沢あい先生の体調不良が主な理由であり、現在も完全復帰には至っていません。
ただし、先生自身が作品への想いや再開への意欲を過去のコメントなどで示したこともあり、希望の光が完全に消えたわけではありません。
休載のきっかけは、矢沢あい先生の深刻な病気
『NANA』が休載に入ったのは、2009年6月。
公式に発表された理由は「病気療養のため」です。
詳細な病名や症状については明かされていませんが、長期間にわたる治療とリハビリが必要な深刻な病気であったと見られています。
一時期、ファンの間で「矢沢あいは亡くなったのではないか」といった誤情報が広まりましたが、これは完全なデマです。
実際にはその後もファッション雑誌や展示会にコメントを寄せたり、イラストを描き下ろしたりと、制限付きながらも創作活動を続けていることが確認されています。
作者が語った“続きが描けない”という現実
2017年に行われた公式インタビューや、矢沢あい展などで公開された情報では、矢沢あい先生自身が「NANAの続きが描けない」と語った場面もあります。
この発言は、多くのファンにとってショックであり、また深い理解を呼びました。
矢沢先生は「物語の続きを頭の中では考えているけれど、心と体がついてこない」「当時のようなテンションでは描けない」というニュアンスの発言をされています。
これは、物語そのものが非常に感情的で、特にレンの死やナナの喪失、登場人物たちの内面を深く描くため、作者自身にも大きな精神的エネルギーが必要だったことを示しています。
再開の可能性はゼロではない
では、『NANA』の連載が今後再開される可能性はあるのでしょうか?
完全な保証はできませんが、“ゼロではない”と言えます。
その根拠のひとつが、2020年に開催された「ALL TIME BEST 矢沢あい展」です。
この展示会では矢沢先生本人による直筆コメントや新規イラストが公開され、ファンとのつながりが今も続いていることが示されました。
また、展示会の中で『NANA』のその後に関する作者自身の言葉や設定資料が展示されたことで、「まだNANAという物語は終わっていない」と捉えるファンも多くいます。
さらに、2022年には『NANA』関連グッズや画集なども新たに発売され、公式側も作品の価値と人気を今も重視していることがうかがえます。
「描かれない続き」に、ファンが込める願い
矢沢あい先生が描けない理由は、決して創作意欲の欠如ではなく、心身の限界に正直であることにほかなりません。
NANAはそれだけ繊細で、作者自身の感情を深く投影した作品であることがわかります。
今、作品の登場人物たちは物語のなかで“止まった時間”を生きています。
しかし、ファンはその続きがいつか描かれることを願い続けています。
そして、何より大切なのは、矢沢先生が健康を取り戻し、再び筆を取れる日が来ることです。
もし再開される日が来れば、それは『NANA』という作品にとっても、ファンにとっても、奇跡のような一歩となるでしょう。
まとめ
この記事では、漫画『NANA』の21巻までのあらすじを簡潔に整理し、未収録の22巻以降の内容と、未来の登場人物たちの描写を解説しました。
さらに、矢沢あい先生がなぜ続きが描けないのか、再開の可能性についても言及しています。
『NANA』はまだ終わっていない。
そう信じているファンにとって、この記事が作品への理解と愛を深める一助となれば幸いです。描かれなかったその先を、あなたも一緒に辿ってみてください。
