ドラマ『南田南弁護士は天才肌』を見て、「自閉症の弁護士って本当にいるの?」と気になった人もいるのではないでしょうか。
芦田愛菜さん演じる南田南は、自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持ちながら、優れた記憶力と法律の知識で事件に挑む新人弁護士です。
ドラマならではの設定にも見えますが、現実の日本にも同じようにASDの特性を持つ弁護士はいるのでしょうか。
この記事では、日本で実際に活動する弁護士の経歴や仕事、南田南との共通点、実在モデルの有無について調べました。
自閉症の弁護士は実在する?日本にもいる!
自閉症(自閉スペクトラム症・ASD)の弁護士は、日本に実在します。
その1人が、東京都日野市で活動する伊藤克之(いとう かつゆき)弁護士です。
伊藤弁護士は、自身もASDの当事者であることを公表し、発達障害のある人が抱える法律問題にも取り組んでいます。
伊藤克之弁護士は東大法学部出身!プロフィールを紹介
伊藤弁護士は、東京大学法学部に進学し、在学中に司法試験に合格しています。
まずは、公開されているプロフィールを見てみましょう。
| 名前 | 伊藤克之(いとう かつゆき) |
|---|---|
| 生年 | 1976年 |
| 出身地 | 神奈川県横浜市 |
| 大学 | 東京大学法学部 |
| 司法試験 | 1998年合格 |
| 弁護士登録 | 2000年 |
| 所属 | 第二東京弁護士会 |
| 事務所 | 日野アビリティ法律事務所 |
| ASDの診断 | 39歳のとき |
※事務所公式プロフィールおよび本人への取材記事をもとに作成しています。
東京大学法学部を卒業して弁護士になった経歴は、ドラマの南田南と重なる部分があります。
ただし、南田南は東大法学部を首席で卒業し、司法試験にもトップで合格した設定です。
伊藤弁護士については、首席卒業や司法試験トップ合格という情報は確認できません。
参考元:日野アビリティ法律事務所、弁護士JP

ドラマのように、東大法学部出身でASDの特性を持つ弁護士が日本にもいるんですね。
39歳で自閉スペクトラム症と診断された
伊藤弁護士がASDと診断されたのは、弁護士として働き始めてからの39歳のときでした。
子どもの頃から人とのコミュニケーションに難しさを感じていたものの、当時は発達障害についての知識がなく、自分の特性に気づいていなかったそうです。
弁護士になってからは労働事件などに取り組んでいましたが、過重労働によってうつ病を発症し、休職を経験しました。
その後も心身の不調が続き、主治医から検査を勧められたことで、ASDと診断されたといいます。
本人は診断を受けた際の心境について、次のように語っています。
正直、長年の悩みや困難の原因がわかってほっとしました。
引用元:弁護士JP
診断後は発達障害の当事者会にも参加し、自分の特性と向き合うようになりました。
そして2018年4月、日野アビリティ法律事務所を設立し、発達障害のある人を対象にした法律相談にも力を入れ始めました。
参考元:日野アビリティ法律事務所、弁護士JP
実際にどんな事件を担当している?
伊藤弁護士は、労働問題や人権問題など、さまざまな事件に関わってきました。
事務所の公式プロフィールによると、解決した事件は700件を超えています。
これまでに参加した弁護団には、次のようなものがあります。
- 「らい予防法」違憲国家賠償訴訟(東日本)
- 京王電鉄バス部門分社化リストラ事件
- 圏央道あきる野IC事業認可取消請求事件
- 西東京バス賃金差別事件
これらは弁護団の一員として関わった事件であり、すべてを伊藤弁護士が1人で担当したわけではありません。
現在は、発達障害のある人が職場で直面するトラブルの相談にも対応しています。
不当解雇やパワハラ、障害への理解不足など、仕事上の悩みはさまざまです。
自身も発達障害の当事者だからこそ、依頼者の困りごとに向き合いながら支援を続けています。
参考元:日野アビリティ法律事務所、弁護士ドットコム

ドラマのように事件を解決するだけでなく、発達障害のある人の働く悩みにも向き合っているんですね。
南田南と実在する伊藤克之弁護士の共通点は?
芦田愛菜さん主演の『南田南弁護士は天才肌』に登場する南田南と、実在する伊藤克之弁護士には、いくつかの共通点があります。
ただし、ドラマの設定と実際の経歴がすべて同じというわけではありません。
東大法学部出身でASDの弁護士という共通点
2人の共通点と違いを比較してみましょう。
| 項目 | 南田南 | 伊藤克之 |
|---|---|---|
| 人物 | 架空 | 実在 |
| ASD | 公式設定 | 本人が公表 |
| 大学 | 東大法学部 | 東大法学部 |
| 卒業成績 | 首席 | 不明 |
| 司法試験 | トップ合格 | 在学中に合格 |
| 弁護士経験 | 新人 | 2000年登録 |
| ASDの診断時期 | 公式紹介では不明 | 39歳 |
共通しているのは、ASDの特性を持ち、東京大学法学部を卒業して弁護士になったという点です。
一方、南田南は新人弁護士として成長していく物語の主人公ですが、伊藤弁護士には長年の実務経験があります。
南田南には驚異的な記憶力があるという設定もありますが、伊藤弁護士について同じ能力があると確認されているわけではありません。
参考元:フジテレビ公式、日野アビリティ法律事務所
南田南は伊藤克之弁護士がモデルになった?
学歴やASDという共通点を知ると、伊藤弁護士が南田南のモデルなのではないかと気になりますよね。
しかし、伊藤弁護士が南田南の実在モデルになったという公式情報は確認できません。
『南田南弁護士は天才肌』の原作は、2022年に韓国で放送された実写ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』です。
韓国版ではパク・ウンビンさんが、自閉スペクトラム症の新人弁護士ウ・ヨンウを演じました。
日本版は、この韓国ドラマをもとに制作されたリメーク作品です。
なお、韓国版には漫画版もありますが、ドラマより先にアニメや漫画の原作があったわけではありません。
韓国版の一部エピソードには、実在する弁護士が経験した事件を参考にしたものもあります。
ただし、事件に実話を参考にした部分があることと、主人公に特定の実在モデルがいることは別の話です。
南田南と伊藤弁護士には共通点があるものの、モデルになったと結びつける根拠はありません。

日本にも似た経歴の弁護士はいますが、南田南のモデルと決まっているわけではないんですね。
自閉スペクトラム症でも弁護士になれる?海外にも実在する?
日本にASD当事者の弁護士がいることは分かりましたが、そもそも自閉スペクトラム症でも司法試験を受けられるのでしょうか。
また、海外にも同じように活動する弁護士がいるのか気になるところです。
ASDでも司法試験を受けて弁護士になれる
自閉スペクトラム症であること自体が、司法試験の受験や弁護士になることを一律に妨げるわけではありません。
もちろん、弁護士になるには司法試験への合格や司法修習の修了など、必要な要件を満たすことが求められます。
伊藤克之弁護士も、実際に司法試験に合格し、長年弁護士として仕事を続けています。
ただし、ASDの特性には個人差があります。
政府広報オンラインでも、発達障害の特徴は障害の程度や生活環境などによって異なり、すべての人に同じ特徴が当てはまるわけではないと説明されています。
ASDだから全員が天才的な記憶力を持つわけでも、弁護士に向いていないわけでもありません。
得意なことや苦手なこと、必要な配慮は人によって異なります。
参考元:政府広報オンライン
海外にも実在!アメリカのヘイリー・モス弁護士
ASD当事者の弁護士は、日本だけでなく海外にも実在します。
その1人が、アメリカのヘイリー・モス(Haley Moss)さんです。
モスさんは幼い頃に自閉症と診断され、2019年1月に米国フロリダ州で弁護士資格を取得しました。
米国法曹協会(ABA)では、フロリダ州で自閉症を公表して弁護士登録した初の人物として紹介されています。
弁護士としての活動に加え、神経多様性や障害のある人の社会参加についても発信してきました。
日本の伊藤克之弁護士だけでなく、海外にもASD当事者として活動してきた弁護士がいることが確認できます。
参考元:米国法曹協会

日本だけでなく、海外にもASDを公表して活動している弁護士がいるんですね。
まとめ:自閉症の弁護士は日本にも実在する!
ドラマ『南田南弁護士は天才肌』のように、ASDの特性を持ちながら弁護士として活動している人は、現実にも存在します。
今回確認できた内容は、次のとおりです。
- 日本にはASDを公表している伊藤克之弁護士が実在する
- 伊藤弁護士は東大法学部出身で、在学中に司法試験に合格した
- 39歳でASDと診断され、2018年に法律事務所を設立した
- 南田南とはASDや東大法学部出身という共通点がある
- 伊藤弁護士が南田南のモデルになったという公式情報は確認できない
- アメリカにもASD当事者として活動する弁護士がいる
南田南はフィクションの主人公ですが、日本にもASDの特性と向き合いながら法律の仕事に携わる弁護士がいます。
ドラマでは優れた記憶力が印象的に描かれていますが、実際のASDの特性や得意なことは人それぞれです。
伊藤弁護士が積み重ねてきた経験を知ると、ドラマとはまた違った、現実の弁護士の姿が見えてきますね。
